りうりうさん日乗

ほとんどフマジメときどきマジメ。 漫画やら映画やらスポーツやらをつらつらと。

2014年09月

DSC_0500

かつて「美味しんぼ」で山岡史郎に、

「いったい徳島に何があるっていうんだよ?」
「阿波踊りは終わっちゃってるしさ・・・」

と言われた徳島県。

雁屋哲にはお詫びに日本全県味巡りの徳島編を早急にやってほしいものである。

で、そんな徳島県が、「vs東京」というコンセプトを打ち出して、
動画やらポスターやらを制作。
とりあえず賛否両論。話題にはなったからOKとしてるらしいが、
果たして次の一手はどうなるか。



さすがに菱川 勢一氏が手掛けた映像は美しい。

有名クリエイターが手掛けただけはある。
ポスターも、もちろん。

しかし台詞がなぁ・・・ 都会の人向けなんでこれでいいんだろうか。

戦略としてはわかるんだけど。

売り上げ規模で全然かなわないカネボウが資生堂に対して
あえてライバルとしてキャンペーンしていくことで
カネボウ自体の売り上げがあがった、、みたいな。

一応話題にはなってるみたいなんで、これからの展開に期待したいものである。

個人的にはとりあえず台詞なしの音楽だけバージョンをアップして欲しい。
台詞の阿波弁が、「ちょっと違う」と思ってしまうんだよね、出身者としては。

元ガンバ大阪の社長で、J2降格の責任をとって辞任した金森氏の
「サッカー界における顧客の創造」を読む。

サッカー界における顧客の創造
金森喜久男
朝日新聞出版
2014-08-07



スポーツクラブ経営の実戦を通じて学んだマネジメントの本、
て位置づけだと思うけど、ガンバサポーターのみならず、
他のJクラブのサポにとっても興味深い点が多々。

例えば西野監督を切ってセホーンさんにした件。

2008 リーグは8位だったがACL優勝。CWC3位。天皇杯優勝。
2009 強化部から監督交代打診も成果を理由に却下。ちなみに交代の理由は、
    ①戦術的サッカーへの切り替え
    ②ベテラン依存、世代交代の行き詰まり
    ③練習内容のマンネリ化。
2011 強化部から再び監督交代の打診。遠藤選手が著書で監督批判とも
      とれる内容を記したことからチームに問題があることを認識。
      天皇杯で水戸に敗れたことで監督交代を決断。

と、早い段階で西野さん交代を画策してたことがわかる。
ちなみにリーグ成績は2009年3位。2010年2位。2011年3位と
しっかり結果を残してると思うけど、聞いてみないとわからないものです。

で、肝心のセホーンさんのくだり。

強化部から呂比須氏のライセンスがとれることを確認したので決済。
しかしJリーグからライセンスが下りないと連絡。
けどこれは結果責任。

経営者自身が確認するリスクマネジメントがあるべき

ということでブラジルにいる強化部に帰国を指示。
しかし強化部は残って新監督を探したいという。
そして見つけたセホーンさん。

急いてはことを仕損じる。

そう言いたいところであるが、さすがの金森さん、わかってらっしゃる。

「一度帰国して、改めて検討してください」

数時間後、強化部より再度電話で要請。そこでも金森さん。

「一旦白紙に戻して検討しなおしてください。帰国してください。」

いいぞ、金森さん。がんばれ!しかし翌日ブラジルから3度目の電話。

チャレンジさせてください」

いままでのガンバ大阪を作ったのは強化部。強化部がそこまで言うなら。

「そこまで言うなら、やろう」

そしてセホーンさん。J2降格。

それでも決断し、結果に対して責任を取ることが大事だという。
金森さん、男である。

また、ユニフォームサプライヤーをデサントに決めた件。

CWCの活躍でナイキから提案。
条件は破格。金額はデサントの3倍。契約期間も10年。
ナイキは一流しか契約しないからクラブの価値があがる。

しかしデサントは苦しいときに支えてくれたし、大阪発祥。
ナイキにとっては1クラブだがデサントならサポートも手厚く、
現にクラブスタッフもデサントに好意的。

それでも金額に差がありすぎるので、差が25%になれば
デサントに決めると提案。
デサント、他との契約を切って資金をねん出。

晴れてデサントに決定!

そんなに頑張ってくれたのにJ2降格してしまいました・・・
改めてここにお詫び申し上げます。

と書籍でも謝ってしまうあたりコントのようだが、
いやはやクラブ経営にもいろんなことがあるのだった。

で、ここまでは序盤。あとは快適なスタジアムの必要性、
昔の映画館は施設が老朽化し売り上げも尻すぼみだったが
シネコンになり盛り返してきてることなどをあげ、
新スタジアムへの話になるのだが、そのあたり読むにつけ、
さすがに松下電器で功を上げたビジネスパーソンらしく
優秀な人なんだろうなぁと思う。

それでもセホーンさんの印象がぬぐえない金森さん。
こんなことでは優秀な人が社長になってくれないのではないか、
と思うけど、それでもクラブ社長って魅力的な職業である、はずである。

40代の評論家にもっとも尊敬されてるらしい(Wikipedia)呉智英氏と、
B層の研究で有名な適菜収氏の対談本を読む。




Wikipediaの情報が正しいかどうかは別にして、
1975年生まれの適菜氏は学生時代に先輩から
呉智英氏の本を読めと言われたそうだし、
同年代である私も大学時代に結構読んだ。

ゴーマニズム宣言に出てたりもしたし、文庫にもなってたしで
手に取りやすい状況があったんだよね。

結構売れてるらしいけど、私のような人が読んでるんだろうか。
呉智英さんのこの手の本て久しぶりな気がするし。

で、内容は民主主義の批判だったり吉本隆明批判だったり。

「普通選挙をやめて選挙権を免許制にした方がいい。・・・
 普通選挙制度はポピュリズムの弊害について想定してない」

とか、昔だったら、

過激!呉智英さんらしい!

と喜んでたかもしれないけど、今だと普通に思えてしまうから不思議。
時代が呉さんに追いついたのか。
それって喜ばしいことなのか。

本書には様々な用語が出てきて脚注がたくさんあるんだけれど、
高校生とか大学入ったくらいに読むと、
こういうのも知らなきゃいけないのかなぁ、と後々に影響してくるんで、
若い人は読んだほうがいいと思います、ほんとに。
対談本だから読みやすいし。
知ったかぶりの大人に対抗する手始めにもなるんですよね。

ちなみに脚注ですが、

14ページ  緑軍、ボリシェヴィキ、ロシヤ革命、エスエル
108ページ 現代思想、ラカン、クリステヴァ、ボードリヤール、ドゥルーズ
122ページ 吉里吉里人、プルードン、上九一色村

とか多種多様。こういうのを頭の片隅に入れとくといいよと思います。

現実的に、小論文書くのに使いたい、とかだと、



とかになってくるのかもしれないですが。

「週末はドラえもん展に行こう。」

藤子・F・不二雄展では食いつきが弱いと思った私は、
家族にはドラえもん展と説明し、一路大阪へ。

本来なら予習で、

藤子不二雄論: FとAの方程式 (河出文庫)
米沢 嘉博
河出書房新社
2014-03-06


を読んでいくべきなんだけど、家族には当然無理強いできず。
「海の王子」の失敗がトラウマでなかなか本格的なSFテイストを
導入できなかった、なんて話は誰ともできないので
車中で僕のイマジナリーフレンド「ヴォルタ君」に説明。
家族に気味悪がられる(当たり前か)

「あれっ、違うじゃん」

DSC_0473

タイトルを見て気づく家族。
いやでもドラえもんいるし、とフォローして会場へ。

会場ではいきなり室内でのプロジェクションマッピングを体験。
別に椅子が動くわけでもないのにすごい迫力だった。
部屋が狭くて目の前だったってのもあるけど。

そしてメインの原画と、あの「少太陽」の展示。
少年時代にAとFの両氏が作った肉筆回覧誌が目の前に。
が、この感動は家族には伝わらず急かされる始末。

もろ手塚な感じだったり、絵物語や読み物など当時の
流行りもの満載で、そのクオリティの高さに脱帽。
主筆がFで発行人がAっていうのはなるほどって感じだし、
好きな人にはたまらない空間。

しかし3歳の子供には無理・・・

わりと駆け足の観覧となりました。

その後流行りの近代マグロの行列を横目にランチ。
子供とボーネルンドで遊ぶなど、家族を接待。

次は藤子・F・不二雄ミュージアムに行きたいのだが、
はたしていつのことになるのか。

で、下は以前一人で行ったあの「松葉」。

ryu 024

あまりの興奮に指がレンズに触れてしまっている(;´・ω・)

ここは観光地じゃなく駅からもそこそこ遠いので、
独身時代に行くことをお勧めします。

ちなみに数年前僕が行ったときは観光客は0でした。
一応記念碑とかもあるんですけどね。

ryu 023


中村 慎太郎
ころから
2014-06-11



書評欄を作ったものの増えていかないからってわけではないが、
以前アマゾンレビューに載せたものを再掲。

ブログから単著まで出して業界では知らない人はいないところまで
いった感のある著者だけど、ブラジルW杯観戦以降本人ツイートでは、

お金がない

ってのが結構あって、日銭がない(けど後からでっかく入ってくるよ)って
ことなのか、それとも単なるネタなのかわからないけど、
ある有名な作家が、ライターの原稿料の未払いが問題になってきてるとか
ついに印税10%が崩れてきた、とか書いてたので、
他人ごとながら心配してしまう。

(どうも本当に大変そうです)

で、以下が以前のせたもの。




サポーターズライフへようこそ

二日で10万アクセス。本書のきっかけになったブログは
Jリーグ界隈を瞬く間に駆け巡り、四国の片隅でゆるゆるとサポーターライフを
送る僕のもとにもその噂は届いた。
そして僕もまた、多くのサポーターと同様、中村さんの出現に快哉したのだった。

Jリーグができて20年。書店にはサッカー関連の本がたくさん並ぶようになった。
選手の写真集に戦術本、批評誌もあれば果ては食育の本まで。
けれど、「サポーターになる本」なんてのはたぶんなかった。
そして僕たちは、そんな本を求めていたのだ。

スポーツ好きで日本代表や海外サッカーは見るけど、
なんとなくJリーグに足が向かわない男性。
どうにかしてスタジアムを満員にしたいと思っているサポーターは、
そんな中村さんみたいな人に声をかけ、幾度も袖にされてきた。

曰く、

「海外サッカーに比べレベルが・・・」
「有名な選手がいない」

そう言われる度、

「海外サッカーって別にテレビで見るだけだろ。生観戦と比べるなよ!怒怒怒」

なんてことはおくびにも出さず、

「まあそんなこと言わずに来てみてよ、屋台もあるし。ビアガーデン感覚でさ」

などと懐柔を試み、なかなか成果を上げられずにいたのだった。

けれども中村さんは、あれよあれよと観戦にはまり、鹿島、国立、日立台と
サッカー観戦を続ける。
時に涙し、フットボールライフを歩んでいく。
スタグルを堪能し、チャントを歌う。
なんて理想的な展開!いいお客さんなんだ!!!

サポーターが喜んだのは、自分たちが愛するフットボールの世界が
ほめられたのもさることながら、
中村さんを引き込んだのがスタジアムの雰囲気だと感じられたからだろう。
スタジアムの雰囲気は、サポーターがつくるといっても過言ではない。
我々サポーター諸氏が、中村さんをこちらの世界にいざなったのである、たぶん。
そして僕たちは、まだ見ぬナカムラさんに出会うため、たくさんの人に声をかけるのだ。
「万国のナカムラさん、スタジアムへ集結せよ」と。

本書は、中村さんがJリーグに出会い、サポーターになる物語であると同時に、
「夢を追う」生き方を求め文筆業へと転じた中村さんが、作家になる物語でもある。
ブログから本の出版までをリアルタイムで見届けられる時代性に感謝しつつ、
中村さんの出現に心から拍手を送りたい。


引用終わり。

徳島のサポーター的には思い入れのあるプレーオフがあっさりしてたり
いろいろ思うところもあるでしょうが、読んで損なしかと思います。

ところで「万国のナカムラさん、スタジアムで集結せよ」は、
もちろん「万国のスズキさん団結せよ」からきているのですが、
わかりにくかったでしょうか。
(その元はもちろん「万国の労働者よ、団結せよ」なわけですが)

ご感想あれば是非。



↑このページのトップヘ