りうりうさん日乗

ほとんどフマジメときどきマジメ。 漫画やら映画やらスポーツやらをつらつらと。

カテゴリ: 書評

労働基準法を守ってないのは法律作ってる役所と
それを報じるマスコミというのはよく言われるけど、
(労基法が公務員に適用されるかどうかはさておき)
「正義の」朝日新聞夕刊で連載の「働く人の法律相談」が書籍化。

会社で起きている事の7割は法律違反 (朝日新書)
朝日新聞「働く人の法律相談」弁護士チーム
朝日新聞出版
2014-11-13



まあはっきりいって、ブラック企業だとかなんとかでやばい状態である人は
こんな本なんて読んでないで相談できる場所に駆け込んだほうがいい。
(POSSEとかhttp://www.npoposse.jp/

で、これは総務だとか会社内の問題を担当する人が、
法律ではどうなってるかを気軽に知るのに適切な本、てところ。
パワハラとかセクハラとかサービス残業とか雇い止めとか。
こういう問題が社内で起こる可能性もある、ってことを
頭の片隅に置いとく事は結構大事なことしれない。

もう10年以上前のことだけど、ある新聞社で世論調査のバイトをした時、

「公共交通機関で移動してください。交通費は電車代、バス代全て出ます。
 車で移動して事故などした場合、補償等できませんのでよろしくお願いします。
 ただし調査先にはバスが通ってないところもあります

ってことで、要は金は払うんで自己責任でやれ、ってことだけど、
今はそのあたりどうなってるんだろうなぁ。

POSSE vol.24
NPO法人POSSE
堀之内出版
2014-09-30


こっちの方が勉強になるかもしれませんね。


「人口減半端ないって」

サッカーファンならずとも、こう言わずにはいられないだろう。
巷で話題の「地方消滅」。
とにかく人口が減って大変だ、という話だ。



合計特殊出生率1.43。単純に男女一組で子供を作ると考えると、

2→1.43

となるので、そりゃあ人口はどんどん減る。
実際に人口を維持するにはそう単純じゃなくて2.07ほど
いるらしいのだが、とにかく日本はこれからどんどん人口が減っていって、
2100年には4959万人まで落ち込むと推計されている。
こりゃやばいよね、というわけだ。

さらに、東京は地方からの人口移動で成り立ってるので、
地方の若者が減ると当然東京の人口も減る、
はっきりいってやばいです、
と警告する本書は大ヒット。
2040年に人口が一万人を切る自治体を「消滅可能性都市」とか言ってるんだけど、
その言葉も独り歩きして、今ちょっとしたブームになっている。
新聞にも人口減少社会に関する識者の提言、なるものが載ってたりとか。

これだけ話題になると、いろんなところから反論も出ている。
現状分析、問題提起はいいのだが、その解決策がダメというやつだ。

実際、地域再生の策として出てくるのがコンパクトシティだの産業誘致、
産業開発といった従来の枠組みを出ておらず、いかにも政策提言、
といった感じ。

例えば婚外子についてはほとんど触れていないが、
別に結婚なんてせずに産みたい人がいれば安心して産めばいい、
国が子供を責任もって育てるようにすべきだ、
なんてことは決して言わない。
北欧の女性政策、子供政策が労働政策であることが有名なので
知らないわけもないのだが、そのあたりはさらりと流す。
年間300万人のオーダーで人口が減少するので移民は無理、
ということは忘れないのに。

というわけで、処方箋にはいささか疑問の本書も、
問題意識を広める、という点では大いに成功し、
その役割を果たしたといえるだろう。

でも、結局は仕事があるかどうか、なんですよね。

地方は住みやすい

これは今さら言わなくてもわかってる。
地方ったって山の中で暮らすわけじゃないんだし。
東京なんて飛行機に乗ったらいけるしね。

果たしてどうなっていくのだろう日本。
婚外子が増えたっていいと思うのだが。
でもその前に結婚しなきゃいけないか・・・・

実直。
サンフレッチェ広島監督森保さんの印象ったらそんな感じ。
真面目っていうか。

レッズに選手を引き抜かれても、それだけうちの選手が評価されてる証拠、
とコメントする男。
0円移籍でクラブにお金が入らないのは困りますけどね、と皮肉も言う男。

そんな森保さんが本を出した。
タイトルは「プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意」。



本書の中にも、試合終了後は戦術的な話は分析されるので語らない、
と述べられているが、それはそのまんまこの本にも当てはまる。
あの場面で自分はどう声をかけたか、コーチとはどう接しているか、など、
どうやって人を成長させるか、組織をうまく作るか、
いかにそのための働きかけをしているか、
ということの記述に力を注いでいるのである。

新・人間力、とでも呼びたいくらいだ。

他サポとしては、あの試合の後、と言われてもピンとこないので、
そういうことがあったのね、と思う程度。サンフレッチェを追いかけてる人なら
膝を打つのかもしれないので、必読の書に間違いないのだけれど。

ただ最初に語られるエピソード、森崎浩司に、

「シュートを打つとき後ろから追いかけられたどう思う?」

と問う場面。森崎は「プレッシャーがかかって嫌だ」と答え、
だから抜かれてもくらいついて、FWに気配を、足音を聞かせて
少しでもプレッシャーをかけろ。それが相手のミスにつながるかもしれない。
だからそれを徹底しよう、というところには、森保さんの哲学が出てるのかもしれない。

ハードワークとか泥臭く、とかいうけれど、苦しい場面で最後の一歩が出ないことがよくある。
抜かれて一瞬時が止まったようなシーンを見たことだってあるけど、
そこでがんばれるか、ってのが大事なんだってことをあらためて教えてくれる本書。
サポーターとしては、その最後の一歩を踏み出させるのは自分たちの声なんだ、
と言いたいところだけれど、やっぱり選手の皆さんには頑張ってもらいたいですね。
森保さんに言わせるとそれがプロ、ということらしいので。

しかし本を書いても戦術を明かさない森保さんこそが、真の策士なのかもしれないですね。

※なお、著者印税は広島豪雨災害の義援金に使われるそうです。

ヴァンフォーレが残留決定。その立役者とされる城福さんが
就任時に書いた本書。発売されてすぐ読んだはずだが、
今読むと興味深い点も多い。

例えば1章のチーム編成論のチームのフレームづくりについて。

「こうした数値目標(勝ち点〇〇、〇位)や、目標成績(優勝、ACL出場権獲得、
 J1昇格)は、どうしても現場だけの目標になりがちです。
 そこで私は、クラブ全体、さらにはサポーターや地元を巻き込んで、
 一体となって戦う『フレーム作り』を重視しています。」

とし、FC東京では「首都のクラブとしての使命」、甲府では、
「プロヴィンチアの象徴になる」とのフレームを掲げた、とする。

FC東京での効果はわからないけれど、甲府でのそれは強い印象を与えている。
城福さんが監督を自ら辞任した時、甲府のサポーターの中には、

まだやり残したことはないのか?

とか、

掲げた目標のためのサポートが十分でなかったのではないか?

との声もあったが、これを読むと、目標を達成するためにフレームセッティング
したのであって、そこにこだわりがあったのかはよくわからない。
嫌な言い方だけれど。

他にも、監督の就任時期によるチーム作りの違い、
(すでに選手の選考が済んでるだとか)
監督の1週間の過ごし方、などJリーグのサポなら食いつく点が多数ある。

特にオフシーズンを迎えようとしてる今なら、チーム編成についての部分、
そこからのチーム作りのところは楽しめるはず。

後半は采配論、戦術論、システム論を現場の監督視点で語られるので、
そのあたりが好きな人にはたまらないだろう。

本書がベストセラーになったという話は聞かないが、
おそらくJリーグのサポーターの書棚には並んでいるんだろう、たぶん。
甲府のサポは皆持ってるのかなぁ・・・


前節最下位で降格が決定した徳島ヴォルティス。
甘くない。甘くないのである。

そんな徳島の昇格を記念して地元出版社が緊急発売したのがこちら、
「徳島ヴォルティス栄光への軌跡」。

徳島ヴォルティス栄光への軌跡 (緊急出版! 徳島県民の歓喜と苦難、25年の記録。)
監修「徳島ヴォルティス栄光への軌跡」出版委員会
ANIVA BOOKS
2014-04-25


地方の出版社が発売したものであるけれど、今はアマゾンなどで気軽に手に入る。

発売は4月25日。

昇格の興奮冷めやらぬ、時期ではなく、J1の厳しさを思い知らされた時期。

この時期僕の頭の中は、真心ブラザーズの「素晴らしきこの世界」が流れていた。

「ユメを見るより現実を見よう 素晴らしきこの世界」

この前の歌詞は、

「ノードラッグ ノーアルコールで爆発しよう」

ヴォルティスは、結局爆発しなかったが・・・
臥薪嘗胆。初心忘るべからず、というわけで本書を再読してみた。

そこにあるのは例えば中田強化部長の弁。

プロは結果がすべて やるべきことをやる。

結果、強化部長は解任されてしまった。

しかし、一番衝撃的なのは、小松喬一大塚製薬工場会長のインタビューだろう。

曰く、徳島が3年連続最下位に苦しむ時期、
大塚製薬会長からクラブの立て直しを命じられ事務所に行ってみると
そこにはまるで活気がなく、外でコンビニ弁当を食べる選手らしき姿が・・・

これを見て小松さんは大きな衝撃を受けたらしい。
大塚製薬陸上部とあまりに違う、と。

陸上部には栄養士がついて寮もあり、生活も管理されている。
陸上部のトップの選手は快活で、それはまるでスポーツを体現してるよう、
それに比べてヴォルティスは・・・

そこで小松さんは改革を断行する。
大ナタをふるう。

結果的に社長は交代。選手の大幅入れ替え。柿谷もこの時加入した。
トレーナー、管理栄養士をつけ、風呂、サウナを完備。
練習を見学できる観覧設備まで整備された。
ここまで就任してから3か月。

やればできる。
というか金を持ったできる人がくれば変わるのである。

ここから徳島は徐々に順位をあげ、2011シーズンに昇格争い。
2013シーズンについに昇格をなしとげるわけだが、
それもこれもこの時の大改革があったから。

ありがとう小松さん!

翻って今シーズン。昇格は果たしたものの大きな補強もなく、
開幕から全節最下位でシーズンを終えようとしている。

若さで打開すると強化部長は言ったけれど、若さは若さでしかなかった・・・
まあお金がなかったから仕方がない・・・
中断期間に大盤振る舞いはあったけど・・・
どうしたんだ小松さん・・・

この本を読むと、徳島もいろんな思いを持った人に支えられているのがわかるし、
徳島のサポーターは必携。
しかし、思いだけではどうにもならない現実を突きつけられる。

もちろんスポンサーサイドがお金を出したいと思うようなクラブにするためには、
サポーターの力が必要だ。
とりあえず満員のスタジアムを目指して、サポーターも応援するしかないのである。
来季J2だけれど・・・

去年昇格を目指していたとき、ザ・クロマニヨンズの「雷雨決行」をよく聞いた。

引き返すわけにゃいかないぜ
夢がオレたちを見張ってる

J1が夢から現実になって、どういう夢を見るべきだろう。
やっぱACL?
とりあえず僕は、いつも満員のスタジアムを夢見ているのだけれど。

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