中村 慎太郎
ころから
2014-06-11



書評欄を作ったものの増えていかないからってわけではないが、
以前アマゾンレビューに載せたものを再掲。

ブログから単著まで出して業界では知らない人はいないところまで
いった感のある著者だけど、ブラジルW杯観戦以降本人ツイートでは、

お金がない

ってのが結構あって、日銭がない(けど後からでっかく入ってくるよ)って
ことなのか、それとも単なるネタなのかわからないけど、
ある有名な作家が、ライターの原稿料の未払いが問題になってきてるとか
ついに印税10%が崩れてきた、とか書いてたので、
他人ごとながら心配してしまう。

(どうも本当に大変そうです)

で、以下が以前のせたもの。




サポーターズライフへようこそ

二日で10万アクセス。本書のきっかけになったブログは
Jリーグ界隈を瞬く間に駆け巡り、四国の片隅でゆるゆるとサポーターライフを
送る僕のもとにもその噂は届いた。
そして僕もまた、多くのサポーターと同様、中村さんの出現に快哉したのだった。

Jリーグができて20年。書店にはサッカー関連の本がたくさん並ぶようになった。
選手の写真集に戦術本、批評誌もあれば果ては食育の本まで。
けれど、「サポーターになる本」なんてのはたぶんなかった。
そして僕たちは、そんな本を求めていたのだ。

スポーツ好きで日本代表や海外サッカーは見るけど、
なんとなくJリーグに足が向かわない男性。
どうにかしてスタジアムを満員にしたいと思っているサポーターは、
そんな中村さんみたいな人に声をかけ、幾度も袖にされてきた。

曰く、

「海外サッカーに比べレベルが・・・」
「有名な選手がいない」

そう言われる度、

「海外サッカーって別にテレビで見るだけだろ。生観戦と比べるなよ!怒怒怒」

なんてことはおくびにも出さず、

「まあそんなこと言わずに来てみてよ、屋台もあるし。ビアガーデン感覚でさ」

などと懐柔を試み、なかなか成果を上げられずにいたのだった。

けれども中村さんは、あれよあれよと観戦にはまり、鹿島、国立、日立台と
サッカー観戦を続ける。
時に涙し、フットボールライフを歩んでいく。
スタグルを堪能し、チャントを歌う。
なんて理想的な展開!いいお客さんなんだ!!!

サポーターが喜んだのは、自分たちが愛するフットボールの世界が
ほめられたのもさることながら、
中村さんを引き込んだのがスタジアムの雰囲気だと感じられたからだろう。
スタジアムの雰囲気は、サポーターがつくるといっても過言ではない。
我々サポーター諸氏が、中村さんをこちらの世界にいざなったのである、たぶん。
そして僕たちは、まだ見ぬナカムラさんに出会うため、たくさんの人に声をかけるのだ。
「万国のナカムラさん、スタジアムへ集結せよ」と。

本書は、中村さんがJリーグに出会い、サポーターになる物語であると同時に、
「夢を追う」生き方を求め文筆業へと転じた中村さんが、作家になる物語でもある。
ブログから本の出版までをリアルタイムで見届けられる時代性に感謝しつつ、
中村さんの出現に心から拍手を送りたい。


引用終わり。

徳島のサポーター的には思い入れのあるプレーオフがあっさりしてたり
いろいろ思うところもあるでしょうが、読んで損なしかと思います。

ところで「万国のナカムラさん、スタジアムで集結せよ」は、
もちろん「万国のスズキさん団結せよ」からきているのですが、
わかりにくかったでしょうか。
(その元はもちろん「万国の労働者よ、団結せよ」なわけですが)

ご感想あれば是非。